ここのところの私の出来事

相変わらず夫の介護と猫たちや犬たちの世話に追われて、自分にとってとりたてて良い出来事も変化もなく、また甘えたり、頼りにする人もなく、(シンドイシンドイ・・・)と厳しい日々を送っているのだけど、そんな中でも、ふと心楽しく思うことが起こるものだ。

  • 兄弟

この前、次男と話す時間があり、珍しく結婚の話題になった。我が家の息子は長男、次男ともそれなりの年齢になっているが独身である。大分前に、「結婚は考えないの?」と二人に訊いたら、異口同音に、「親の生活見てたらそんな気おこらない。」と言い、私はマジに、「お、賢明じゃん。」と言った。あの日以来、結婚のことめいたことは誰も何も言わないのだった。それで今回、次男との話で結婚の言葉が出たのは珍しいということになる。
話題を振ったのは私である。
「T(長男)は、結婚するつもりないのかな?」これは、親として考えてやらなきゃいけないかなぁ、と相談半分の気持ちで言ったのだった。内心、次男は、そんなよけいなこと、アニキが怒るよ、と言うだろうとわかっていた。だが次男は、すんなり受け止め、こう言ったのである。
「そうだね、アニキが家庭を持ったら、いい家庭になると思うよ。アニキは寡黙なやつだけど、何かあれば、絶対逃げずに、相手を守りきる強さがあるから、相手を幸せに出来ると思うよ。」
私は次男のこの言葉は、父親と違って、というあてつけめいた言い方だとすぐにわかったが、兄をこのように思っていたということに、気持ちがほっと和んだのである。次男は何をやってもそれなりにこなし、イギリスへの留学生活や気楽にどこの国にでも行く行動力から身につけた洗練も持っており、気難しく社交性に乏しい長男を、日頃軽んじた見方をしているのではないかと気になるところがあったのだ。話してみるとその反対で、次男は長男を、不器用だが信頼に足る今時たいした人間だ、と敬う気持ちを持っているらしいとわかったのだ。
(そうかぁ、うちの兄弟は、結構互いに尊重し合っているのか・・・。それなら、私はもういつ旅立っても心配ないなぁ・・・。)いつの間にか、こんな呟きを心にひそめた私である。

  • てのおはなし

小学館のおひさまという絵本雑誌で、三年間ほど『てのおはなし』を連載していたのだが、今年三月で他の方にバトンタッチし、私は読者として毎月、それを楽しみにしていた。ところが突然終了してしまった。なんだか寂しい。・・・と思っていた昨日、担当の方から封書が送られてきて、中に、私宛のはがきがあり、私のお話の絵が描いてあったのだ。小さな子供の描いた絵である。とても心楽しくなって、テーブルに置き、たびたび手にとって眺めている。こんな喜びもあるのだなぁ、と元気が出る。

  • 夫の睡眠

夫は認知症になってから寝つきが悪く、最近では明け方まで眠ってくれない日が多いのだが、一度眠りに入ると五時間は眠ってくれるようになった。これは快挙! それまでは、一時間、長くても二時間で目が覚め、しばらく徘徊に及び、また眠るがすぐ起きる、の繰り返しであった。「五時間も眠れた!」日は大変な幸運を覚えるのである。