沈丁花哀れ

我が家の庭は犬たちが闊歩してるので手入れが出来ず荒野のようだが(あ、荒野は言いすぎ、猫の額ほどの広さだから)、隅っこに沈丁花を植えて柵で囲い犬から守ってきた。
と言っても何度も犬に枝を噛み散らされたりして、いじましいほど貧相な沈丁花なのだが、それでも三月になると芳しい香りを放って私を慰めてくれる。
ところが今年の二月、蕾がいっぱいについた頃、犬に引き抜かれてしまった。早く気づけば助けられた。なのに私が気づくのが遅かった。
ある日、あれ? と沈丁花の異変に気づいた時、その木は根っこも全部すでにからからになっていた。すぐに穴を掘り、肥料を混ぜた新しい土に埋め、毎日心をこめて水を注いだが生き返ることはなかった。
植物の全部が生き生きと輝いている五月が来たというのに、沈丁花は枯れ木になったままだ。可哀想なことをした。寂しいなぁ。恨めしい顔で庭の犬たちを見る。この庭にいるのは、ナナとハナコとオリュウとリバーだ。オリュウとリバーが来る前まではここまでひどいことはなかったから、多分、この二匹だと私は疑っている。・・・でも仕方ない。犬はこういうことをする存在なのだ。「ね、オリュウ、リバー。」と言うと、二匹はほめられたと思ったのか、ドサドサと飛びついてくる。(苦笑)


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