猫が指を噛み千切った事件 その後

この事件について、野良猫の保護活動をされています瀬川さんから、その後のご報告をいただきましたので、ここに転載します。
ーーーーーーーーーーここから 瀬川さんの報告ーーーーーーーーーーーーーーー
≪埼玉の老人ホーム、猫事件の真相≫

(これは、埼玉の特別養護老人ホームで起きた事件です。詳細は、以下のアドレスで。)
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200510/sha2005100901.html

●「猫が犯人」とは、警察は言っていない!!!
本日(10/11)、加須警察署に電話し話を伺う。
(その結果は、以下の通り。)
「猫が犯人とは言っていない、それは、マスメディアが勝手につくった話。
警察も迷惑している。」
警察の認識は、人間以外の原因(動物)。
足跡も確認したが、それが猫とは言っていないとのこと。

●捕獲された猫は、どうなっているか?!
猫は現在、警察から「動物管理センター春日部支所」へ。
ここで、今後の処遇を検討中とのこと。
(春日部支所、048・735・2451)
春日部支所では、殺処分の中止を求める声が、多数寄せられている。
また里親の申し出も、複数寄せられているとのこと。

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●警察では、「猫が犯人」をメディアが勝手に流したことについて大変立腹。
意見や抗議は警察ではなく、テレビや新聞社にして下さいとのこと。
加須保健所では、猫を捕獲したことについて、
本来、猫の捕獲はできないことだが、再発防止の特別な措置として、
警察やホームからの依頼を受け実行した。
しかし、ただ檻を置いただけで、翌日かかった猫は警察に任せたとのこと。

質問1。
・ 口の周りや体に、血痕はあったか?
保健所は、檻の外から見た限りでは確認できなかったとのこと。
(つまり、血痕は見られなかったとのこと。)

質問2。
・ 網戸に、進入の穴が開いていたと言うことだが?
警察は、特に調べていないとのこと。

●動物管理センター(春日部支所)では、
猫を警察から引取ったのは、通常の業務との説明。
それについて、
引取ったことは正当な業務で、ここまでの対応には感謝している。
しかし、今後の猫の処遇を通常の業務として処分するのなら、
問題があると話す。(以下、内容。)

・ まず、始動時の捕獲は、通常の業務とは違う、
特別な対応であったこと。
・ 次ぎに、猫が犯人とは警察が言っていないこと。
つまり、確認されていないこと。
・ 今回の事件は、前代未聞で猫がやっとは考えにくいこと。
(もっと、可能性の高い野生動物がいる。)
・ 殺処分は、「猫が犯人」という認識を、
定着してしまう恐れがあること。
・ この「猫が犯人」という認識は、社会に与える影響が大きいこと。
(猫に対する誤解を生み、猫を危険視する風潮を生む恐れがある。
それは野良猫の保護活動などにも、大きな障害となりうる。)

これらの理由から、譲渡の方向に検討頂くことを強くお願いする。
(今後の処遇は、一週間後に確認の電話を入れるとして話を終える。)

特別養護老人ホームでは、
メディアには、状況を説明しただけで「猫が犯人」とは言っていないとのこと。
また、そのような認識も持っていないとのこと。
(以下、状況。)

・ 中庭に、2週間前から猫が居た。
・ 中庭は、建物に囲まれ、その中通らないと外に出られない。
(従って、猫は2週間なにも食べていないことになる。)
・ 網戸は、以前から穴が開いていた。
(ほころびていた。)

いずれにしても、
中庭に閉じ込められ、2週間なにも食べられない猫が居て、
建物の中には、寝たきりの老人が居るという状況はごく特殊な状況。
この状況自体大きな問題であり、疑われた猫に問題があるのではなく、
それがどんな動物であれ、ホーム側の大きな手落ちであり、
すべての責任があるということ。
従って、一般にはありえなない猫への誤解を与え、
大きな波紋を広げたことを、「すみません」と謝罪。

以上、正しい事実関係他を報告いたします。

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余談ですが、センター職員の方は、
「個人的な話ですが、こういうときだけ、なんで言ってくるんですかね。
普段、沢山の犬猫が処分されているのに、誰も、引取ろうとしないのは疑問ですね。」

私、「こういう時だけでも行動することで、保護活動のきっかけになって頂ければ良いことと思いますよ。すでに保護活動をしている方や愛護団体は、保護した動物であふれていて引取り不可能ですし、年間、40万頭以上に及ぶ犬猫を引取ること自体無理ですよ。
だからと言って、何もしないのでは何も救えないから、私自身は、自分が出会った動物、目の前に居る動物、こういう形で知った動物を救うだけです。」

最後に、犬猫問題の本質は、「ペットの垂れ流し」、つまり、野放しな商売にあること。
命を取り扱う業は、本来「許可制」であるべき。
私たちは、そのための「法改正」を頑張るから、そちらは、殺処分しない方向での検討をよろしくお願いしますと、話しを終えました。

野良猫保護・管理ボランティア

瀬川 努
ーーーーーーーーーーーここまでーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
瀬川さん、この件で、真相を究明するために活動をされていたのですね。ご心労が多いでしょう。私はずうっと気になりながら自分では何もできませんでしたので、本当にありがとうございます。また日頃、音楽家としての活動とともに、野良猫たちの保護救済を親身に尽くされ尊敬の思いでいっぱいです。どうか、ご健康には気をつけて下さい。

朝、このご報告をいただいて読んだ時、猫が中庭に入り込んで出られない状態でいるのに、二週間も餌も与えず放置していた施設への不信感で、思いっきり不愉快な揶揄めいた主観を書いていたのですが、時間が経ち、そんな怒りや不信をあらわにしても何も解決にはならないと思い削除しました。
瀬川さんからの新しいメールで、施設は猫を出そうと努力されたとのこともわかりました。でも私の本心はやはり、二週間も生き物に餌もやらず放置していた施設には落胆します。寝たきりで言葉の話せない高齢者にとって、そうした生き物がそばにいることは危険になる、ということにすら無関心だったのでしょう? いったいどういう介護施設なのでしょう。
私は、自分が猫だったら、二週間もうっかり迷い込んだところから出られなくなり、食べるものもなかったら、空腹のあまり、目の前の存在はみんな”餌”に見えて齧ってしまうかもしれない、とマジに思いますよ。そうして、とんでもない恐ろしい猫めっ! と殺されたら、「人間はなんと自分勝手で冷酷で偏っているのだ!」と化けて出て抗議するかも。
何にしろ、生き物たちの問題は、殆ど人間の問題であり、何かことがあると、生き物をさっさと殺処分して済ませることを繰り返すのではなく、物事の根本をきちんと見て、自分たちを正していくことを心がけたいですね。そうしていけば、生き物たちそのものが、人間に害を及ぼすことも減っていくでしょう。それを願います。