元日スペシャル『汚れある悪戯』

ある清廉な人柄で知られる大物経済人の息子がたくらんだ誘拐事件を発端に、人間の理性の陰部にひそむおぞましいパワーを描き出して、二時間半を面白く観た。(介護中の夫の介助が合間に入るので、なかなか集中はできなかったが。)
葉月里緒奈がさえないOLに徹して、重要な役を演じきっていた。(この女優はこれまで、”自分”に頼った演技しかできない人かと思っていたけど、今回、最後まで役の女性を捨てない強さが見えて好感が持てた。)
相棒は映画化されたことがあるのかな? 右京さんと薫ちゃんの完成度の高さを楽しんでいると、これは映画で観たい、という気持ちが起きてくる。映画化されたら絶対観に行くな。

ただ、今回のドラマもそうだけど、ミスキャストが多くて残念だよね。今回の人格者の財界人のろくでなし息子、ミスキャストでしょ。あの人はいい役者さんだけど、あの役にはまってない。
竜雷太は、父親の悲しさは充分出していたが、右京さんに追い詰められて己の欺瞞がいやおうなくはがれていく過程の恐ろしさ哀しみの深さには遠い気がした。