8月

8月、61年前のこの月、第二次世界大戦が終わりました。敗戦記念の月です。
私は1942年の2月生まれですから、戦争が終わったこの夏三歳でした。
四国の海辺の町で生まれ育った私は、生まれた時から三歳まで戦争の中にいたのでした。
敗戦直前には、小さな田舎町にもB29が真っ赤な炎をもたらせ、その下を祖母が私を背中にくくりつけ逃げ込める防空壕を必死で探していたのを記憶しています。怖かった。とても。
その時、大人の一人が、誰かの名前を連呼して走り惑っていた記憶もあり、この記憶は、言葉に表せない悲しみのような形になって私の奥にまだあります。あの人が泣き叫びながら呼んでいた人は、無事だったのだろうか、と今もふとあの夜が蘇るのです。
・・・・・少し形は変えていますが、自分の微かな記憶を辿りながら、私は戦争に関わる本を二冊書いています。『風のむらから さわこ』と『ひかる夏ーたつひこ』です。
どちらも絶版になっていますが、もしどこかの図書館で目に止まりましたら読んで下さい。
『光る夏ーたつひこ』は、私が何部か買い取って保存しています。希望される方にお送りします。下のアドレスからメールをお送り下さい。差し上げます。muku1995_charlir1997_taro2001@yahoo.co.jp


ある時期から、私は反戦物としてくくられる二冊の作品を書いたことが嫌に思っていました。
反戦を口にする”ヒューマニズム”というものがインチキに感じてならなくなったからです。
でも今年、「それは違う。」と思いはじめました。自分が書いたものを誇りとできないことこそ、インチキに惑わされている自分のインチキを表しているのだと。この自覚は、戦争の記憶を語る大切さを再認識したものでもあります。
インチキなヒューマニズムと、感じていた頃、戦争の記憶をつらつら述べて何が反戦だ!平和だ!自分のインチキを自分の心に問うことこそ大事だろうが、と荒ぶれていたのです。
        世界中のどこにも戦争がない時代がくることを祈りつつ