災害時のペット対策 寸感

この記事は、イザというブログに書いたものをここにも持ってきました。
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イザ内の探訪をしていたら、災害時のペット対策の記事があったので私の現在の考えを書いておこう。でもその前に、『犬は散歩の必要を生じない広大な庭を有するセレブしか飼えないとするべき』『犬を飼いたければ無人島に住むべし』といった意味のことを書いておられるブログに対して言いたいことが三つあります。

1:犬に限らず生き物は、特定の人間の愛玩物として存在しているわけではないんですよ。私たちは生き物を食べ、ペットから癒されるなど多くの恩恵を受けていますが、だからといって、生き物を人間の私物と考えない知性を持ちたいですね。

2:生き物が身近にいるのが我慢ならないあなたこそ、無人島に住むべきですよ。それが筋、と私は考えます。

3:あなたのお説にひとつ賛同することがあります。それは日本人のペットを飼う意識、マナーは最低、と思える人が多い、と私も感じます。


ではペットの防災対策ですが、記事によると、

・・・・・・・・・・記事の概略ここから・・・・・・・・・・・・・・・・

ペットフードを備蓄する自治体が現れたほか、ペット専用の“避難用袋”も登場するなど動きは広がりつつある。だが最も大切なことは、飼い主が“家族の一員”として、被災時も責任を持つことだと関係者は自覚を促している。(森浩)
 ■食料を“備蓄”
 「寝ている人を犬が駆け回って起こすようなことは避けたい」−。
 愛知県では、この6日に地域防災計画を改定し、災害時の“飼い主の責任”を盛り込んだ。
 愛知県はイヌの登録件数が43万匹(平成16年度)と全国の都道府県でトップ。避難所では「避難所ペット登録台帳」への登録を促すほか、飼育場所や飼育ルールの徹底を義務づけた。「どうしても災害時は混乱が生じるが、指針は作っておかなくてならない」(同県防災危機管理課)
 先進的に取り組んでいるのは、東京都練馬区だ。平成15年から、イヌとネコ合わせて約500缶のペットフードを備蓄している。「糞(ふん)尿の問題のほか、被害が長引けば最悪の場合、野生化してしまうケースもある。避難所でペットも受け入れられる態勢作りが必要になってきた」と区防災課の村野真啓さんは力説する。
 さらに、「ペット連れ」の家族に専用スペースを当てることも決めた。村野さんは「ペットは避難所の敷地内に入っちゃいけませんというわけにはいかない。ただ迷惑になる人もいるので、居住スペースは明確に分ける必要がある」と説明している。>

とある。また阪神大震災の教訓から、専用“持ち出し袋”の販売をするところも現れたことや、飼い主の責任意識を高めることの必要性を訴えている。マイクロチップの導入も提案されている。

・・・・・・・・・ここまで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この記事を読んで、私の感じることですが、

まず、自治体や行政が、以上のような方向を考えておられると知ってとても嬉しいと感じました。
でも、必要なのはこの中のふたつだけでいいのではないかと思いました。

それは、飼い主が責任と愛情を持ってペットを守り抜くことを促すことと、避難場所の確保です。
飼い主が”災害がおこったとき、自分のペットを食料や水とともに連れて行き、他者に迷惑にならない守り方をする努力をすること”は基本です。この指導や呼びかけを前提に、あとはペット(生き物)の避難場所を確保するだけでいい。それ以上を一足飛びにやろうとするなら、救助ができるペットが限られてしまう結果になる気がするのです。
実際の人々の飼い方はさまざまあって、下にもおかない飼い方をする人もいれば、食事と散歩だけはするが後は庭に繋いでいる、という人もいます。(私などこれ)
ですから、ペットを避難させることをあれこれ飼い主のやるべきことを付加しては、かえって飼い主に重荷を押し付ける結果になります。
こうしたことを考えて、現在の日本のペットの飼い方の状況の中で、災害時にペットをどうするか、を真剣に考えるなら、”行政はペットの避難場所の確保だけでいい”、と思えるのです。
飼い主がいない、あるいははぐれた動物のための水と食料の確保はいりますが、まず場所。”ペット、生き物がいてもいい場所”です。場所さえあれば、飼い主のいないものも、愛護団体や支援者の活動で守れるし、ペットを家族とまでは思っていない飼い方の人でも、まずは連れて避難しようと、と考えられると思いますし、ペットのいない人たちと避難場所が違えば、混乱も大分避けられるのではないでしょうか。


この<場所の確保>だけは、どこの自治体も何としても考えてもらいたいです。ペットの防災グッズなどまで考える必要はない。(個人個人が自分のペットのために考えるのは自由だが。)まず”生き物がいても、誰にも文句を言われない場所”。


ここで、人間が優先だ、犬や猫の避難場所は人間に回すべきだ、という意見が必ず出ると思いますが、その人たちに切にお話ししたいです。
「そのお気持ちはわからなくはありません。でも、人間の避難場所を100とするなら、その100のうちのわずかを、ペットにまわそう、と決めたら、それで双方が生きられるのです。そう決める勇気をどうか持って下さい。
こうした選択をする勇気は、人間の未来につながると思いませんか?」

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最後に私個人は、災害の時には、私たちはどこにも避難はできないだろう、という覚悟を決めています。
私の家には、無責任な人がひっきりなしに置いていく犬や猫でいっぱいですから。この犬は連れて、あの犬は置いて、などできませぬ。また行政や愛護団体に助けてもらおうという考えもありませぬ。私を助けるなら、その労力やお金を、他の不当に無残な目に合う生き物を救って欲しい。

ただひとこと言っておきたい。
こうなった私たちの運命は、今となっては、「これも自分が選んだ運命だ。」と自覚していますが、自分の飼い犬や猫、あるいは自分や家族が拾った犬や猫を、他人に押し付けてはばからない”あなたの根性”にはほんとーにうんざりです。何とかなりませぬか。