邪気

夫がなかなか寝なくてすっかり眠り損ねた。この暑さが続く中こんな寝不足で生き抜く自信がないゾ。・・・なんて時にわざわざこんなことを書くのも何だけど、実は夕べ食事の後、夫の部屋にアイスクリームを持って行ったら、夫が観ていたテレビに細木数子さんが映っていた。なにやら不穏な感じがして夫に、「テレビ消そう。」と言ったのだが夫は「観てる。」と言う。仕方なくアイスクリームを食べてる間一緒に観たのだが、これが酷く悪いものを観てしまった・・・という感覚が残ってしまったのだ。


若い女性が挙手をして、細木さんに、「私は〇〇の運勢でいい運気で、3月何日かに宝くじを買ったら当ると言われたけど当らず、運もよくならない。」というようなことを言ったのである。
すると細木さんは、「あなたは邪気がある・・・ウンヌン・・・。」と言い始め、その女性が心が汚く生き方も悪いというような意味をウムを言わさぬ感じで言い立て、「陰徳を積め。」と言い切るのである。
やがて女性は泣き出したようで、それを、「欲が深いから泣いてるんだ。」とまで言うのである。その後、その女性を手招きして、その女性は小走りで傍によっていく・・・ここでとうとう私は観るに耐えなく部屋を出た。
この間、三分〜五分ぐらいのことだろうか。


結局彼女は、自分が高名で視聴率をとれるお金のある占い師で、だからテレビ局にも多くの人にも持ち上げられる力を持っているという立場で、まるでわなにかけてとらえた子うさぎを弄ぶように抑圧し、その後頭をなぜて一気に抑圧から解放された安堵を相手に与え、その人のアイディンティテイを手中にした、のではないだろうか。
と、このことが気味が悪くて、それこそ邪気がテレビからほあほあとあたりを漂った気がしたのである。
その証拠に、並み居る芸能人の誰もが何も言わず、言えず、誰も彼も檻に捕らわれた何かのようにさえ感じた。
それにしてもテレビ局もなんと言う低劣さかと、これも気味が悪いのであった。


私は占いを悪いと言ってるのではない。宗教は尊いが、教える人が邪悪だとその宗教も邪悪になる、ということを言っている。
思うに、私は細木さんは自分のやってることをわかっていると思う。この人は本来は才能のある占い師なのだろうと思える。最初に書かれた本を一冊読んでそう思った。だが二冊目はもう邪気に満ちていた。だから二冊目はすぐに捨て、一冊目も捨てた。
夕べの番組を観て、この人はやっぱりこうなったか、と思った。エラソーな言い方で恐縮だが。
占い師や霊感師は、物事をはっきり言うのは大事だが、謙虚さを失ったら、通常の人より高いところからまっさかさまに早く落ちるところに落ちてしまうよ。細木さんを見てるとそう思う。(見てないから違うかもしれないが)


ああ、ほんと嫌なものを見てしまった。