耐えるアイちゃん

kazesk2006-12-07

あるところで飼われ、見事なグレーの長毛を誇っていたアイちゃん。
最近、外でぽつねんとしている姿を見かけるようになっていた。
何日か前、あたりはすっかり夜陰に閉ざされ寒さもひとしおになった時刻に、そのお宅の入り口の前に、アイちゃんが蹲っているのを見た。
「寒いのにどうしたの? おうちに入りなさい。」と声をかけながら抱き上げると、ひどい姿になって、しかも大変な悪臭がする。明らかに感染症に罹っているのがわかった。
そのまま入り口を開いて中に声をかけた。が、ちょうど忙しい時だったのだろう、どなたも出られない。
ふと玄関の土間を見ると、隅に新聞紙が一枚敷いてあって、すぐにそこがアイちゃんの寝床とわかった。玄関のホールはガラス戸に仕切られ、室内の暖房は届いてこない。そのタイル貼りの床に新聞紙一枚でいるのは、この症状の猫には死ねというようなものだ。


私はそのままアイちゃんを家に連れて帰った。
翌日、病院に連れて診察していただいたら、白血病エイズがプラスだという。顔に喧嘩の傷のようなただれがあり、先生は、「助かるのは難しいでしょう。」と言われた。


結局アイちゃんは我が家の猫になった。
家の二階の洋室がアイちゃんの部屋である。パネルヒーターを入れ、終日温かくしておく。箱の中にはホカロンと足を暖める電気カイロを入れる。スポイトで薬をちゃんと飲んでくれるので、毎日注射に通うことはないが、なかなかいい方向にいくのは見えない。
この写真はまだいいほうだ。
実際はもっとひどい。ひどい状態を直視しても耐えられるは、こちらのURLを開いて下さい。
http://www1.odn.ne.jp/~kaze2005/0aityan_yamai.html


お願いしたいのは、アイちゃんが元気になることを祈ってほしい、ということです。


元気で美しかった頃は、室内で悠々としていたアイちゃん。
生き物を飼う、ということは、元気で美しい時ばかりではない。
そして、このアイちゃんのようになってしまった時こそ、温かさや栄養やくつろいでいられることを考えてやり、苦痛を少しでも早くなくしてやるように、手をかけて治療してやらなくてはなrないのです。
それらの覚悟が必要なのです。家族が病に倒れ、あるいは老いて自立ができなくなった時、家族が手助けをする。その覚悟は人間は意識する、しないに関わらずどこかでもっているだろう。
動物を飼う、ということも同じなのです。
手助けを求めている自分の家族を、猫だからといって怠慢に酷薄になる・・・これは哀しいことです。

あなたは、自分が老い、病に伏したら、捨てられる人生が当然と思いますか?
捨てられて、アイちゃんのように黙って耐えられますか?