冤罪

無実の罪をかぶせられるほど苦しく悔しく無念なことはなく、人を陥れるほど恐ろしい罪はない、とかねがね思っている私は興味深く観た。面白かった。このシリーズは右京さんと薫ちゃんのキャラクターが完璧に出来上がっている上で、事件の筋書きや人間関係をシンプルにみせるのがいい。
今日のドラマは、二十年前に冤罪で捕まり拘留中に病死した男の妹が、兄を冤罪に陥れた関係者に復讐をする話だが、この妹役の女優さんは、美人だがあまり目立たず、日常に埋没しがちな女性の雰囲気を醸していいキャストだと思った。
ラストの裁判の場で、妹の復讐が成就するのだろうということは予測できたけど、本当の復讐が、兄を捕まえて犯人と決め付けた刑事と、ろくに調べもせず送検した検事で、今は自分の弁護をしている弁護士を『冤罪』に陥れるのが目的だったとは。右京さんが気づいていたこのことに、標的にされていた刑事と弁護士が気づかなかったというのは、権力の座にいる自分を過信していた、ということかしらん。皮肉。

ところで、相棒の魅力は、毎回含蓄あるセリフがうまく活きていることもそのひとつだけど、今回は、右京さんのセリフ、『真実はいかに闇に隠そうとしても、いつか必ず白日のもとにあらわれる。』が骨(テーマ)となっていたが、このセリフ、現在の世の中の希望としたいですね。それからもうひとつの含蓄深いセリフ、『沸騰した鍋に蓋をするとこぼれる。』を、官房長官に、それの原因は右京さんと薫ちゃんにあると言わせているのだけど、これはちょっとズレてないかい? やっぱ、鍋を沸騰させるものは、どんな時も当事者でしょ。右京さんたちは、事件の当事者ではない。・・・こういうところのズレが気になるタチだもんで。