新・風のロンド 最終回

今日でこのドロマ終わった。最終回を観終わってすぐに感想を書き留めておこうと思ったが時間がなく、こんな時間になった。この時間もほんとはあたふたしてる時間帯なのだけどちょっとだけ。


最終回でほんとにほっとしました。昨日まで、いったい人間の愛の未来はどーなるんだ! と思うほど暗澹たる気持ちであった。
とにかく、このドラマの大きなテーマ、『運命の愛』というのが私にはまったく感じなかったからだ。『運命の愛をつらぬく英明と夏生』の姿、選択に共感するものが皆無だった。
英明は、ただの執拗な男にしか見えないし、夏生はそのしつこい男に振り回される可哀想な女にしか見えなかった。・・・正直言って、このことには腹を立てている。最初はよくできた内容のあるドラマだと思っていたのに、途中から精神性が消えて、俗っぽい男と女の愚かなあがきでしかなくなったから。


テーマの『運命の愛』はいいと思うし、親から引き継いだそうした怨念のような愛の姿を描くのもいい。だけど、描き方がワンパターン過ませんか。
浩二と槙の愛の経過はあれでよかったと思う。時代背景が戦争と言う絶対的な事情で閉ざされた二人が、あの形で求め合うのはわかるのだ。しかも、槙の夫の大介の陰りのある性格は、槙をあのような走り方にするに充分の設定だ。
だが、夏生は違う。英明の執拗さに引っ張られ、母と同じ関係を持つに至る必然がどうしてもない、と思えてならないのだ。
夏生と英明を、『運命の愛』に高めるには、肉体的な関係より、精神的なつながりを描いた方が、リアルだし説得力があると、私は思えてならなかった。
だから、英明が純粋な愛を貫く男とはとても見えず、夏生が英明に誘われるまま会う場面が多くなってからは、観るのが苦痛で退屈でならなかったし、作者や演出に失望すらしてしまった。


そこで、今日のラストは、ドキドキしてしまった。夏生が、英明への愛を貫くと称して現実から滅びていくのだろうかと、そうだったら嫌だなぁ、とドキドキしたのだ。
いやぁ、夏生には、弟のバイオリンニストともがいましたね♪ ほおっとしました。
夏生が病室の窓に立つと、中庭でバイオリンを弾くともがいて、その音色が清らかに夏生に届いていく。人々が風のそよぎのように集まっていく。・・・このシーンはもっと観たかった。聴きたかった。
そして、ラストも美しかったですね。大介の車椅子を押す夏生が振り返ると。草原に、関根と子供二人が、静かに夏生を見つめている。あの三人の静かな視線が本当に熱く美しかった。思わず涙してしまった。


こうして『新・風のロンド』は終わったのであるが、槙と夏生の二役の小沢真珠さんの素晴らしさに拍手。神保悟志さんの大介は輝いていましたね。父親に愛されず、二人の優秀な兄のコンプレックスでこれ以上ひねくれようがないというほどひねくれて荒ぶれていた高校生時代から、常に兄と妻の槙を殺した罪悪感をひそめて年老いていき、最後の烈しい懺悔をもってやっと救われる複雑な心理をよく演じておられて、見ごたえのあるドラマにされていたと思う。やはりこのドラマの要は大介だったと思う。
田中美奈子さんの麻美は、心の渇望かんを潤す一瞬も得ないまま、この上ない可哀想な凄絶な死を迎えるのだが、終始リアリティのある演技で凄かった。
大介の父、母、槙の妹の恵美、夏生の夫の関根、子役の人たち、みんな素晴らしかった。浩二と英明は、どうしても好きになれなかったのだけど、それだけ役を演じておられたかたでしょう。


昼ドラの面白さを堪能したけれど、でももう昼ドラは観ない。これが最初で最後。