訃報

俳優の田村高広さんが亡くなられていたのですね。つい今報道で知りました。
田村高広という俳優を知ったのは、中学一年の時、『二十四の瞳』という映画を観てから。当時、愛媛県の小さな田舎から東京に出てきて、言葉をからかわれたり、東京の生活習慣に戸惑い、食の違いに困ったり、何より、父親と二人ぐ暮らしになって寂しくてたまらない日々を送っていた。
そんな日、Yさんというクラスの人が、『二十四の瞳』を観に行こうと誘ってくれた。下北沢の小さな映画館で観た。
見覚えのありそうな四国の風景を舞台に、戦争に巻き込まれる先生と生徒の物語。私自身、戦争の体験が心にまだ生々しく残っていた頃。壺井栄さんの原作を映画化したこの映画は異常に思われるくらい迫ってきて暗い映画館の天井を仰いで大泣きした。「うるさい!」と周りの大人に叱られ、堪えなくてはと思うのに悲しみと寂しさの波が押し寄せ堪えることができなかった。
あの映画のヒロイン、高峰秀子さん(綺麗だったなぁ。以後大好きな女優さんになった。)の夫の役になった方が若かりし田村高広さんだっと記憶している。
私の強い感興をおこした戦争映画の原点は、『原爆の子』と『二十四の瞳』。


田村高広さんのご冥福を心からお祈りします。