五藤吉兵衛(武田鉄矢)の死 考

日曜日の功名が辻感想に書き漏らしたことがあって、そのことがずうっと残っているのでやっぱり書いておくことにした。
吉兵衛が斬られて倒れたところに、一豊が駆けつけるのだが、その時、吉兵衛は地面に横に倒れているのではなく、手負いの猪が、何とか必死で四肢を立たせようとしてうごめいているような格好だった。
これがリアルで圧倒的に凄いと思った。この発想は武田鉄矢のものだろうと思った。斬られたら横に倒れる、という型の中におさまらなかったのだと思う。吉兵衛は、斬られてもなお、一豊の命になりたかったのだと、それを表すにはああでしかなかったのだろう、と。そういうものを感じた。ああいう演技ができる人に尊敬の念が自然にわく。