アゲハ蝶

認知症の夫は、就床してすぐに眠った場合、またすぐに目覚めてその後徘徊になってしまうことがある。そこで今夜は、9時前にベッドに入った夫に、「今夜はお気に入りの相棒のある日だから、ハイカイしないでね。ハイカイしても私知らん顔してるからね。」と言って、私はテレビに向かう。
うまくいったよ! 夫はよく眠ってくれて、私は最初から終わりまで、ドラマが観れた。ホホホホと思わず高笑いというほどではありませぬが笑っちゃいました。こんな日もなくっちゃやってけませぬ。その上、ドラマも面白かったっす。もっとも右京さんと薫ちゃんに会えればそれで幸せ、ってとこもありますが。
今夜の『アゲハ蝶』は、貴重な新種の蝶をめぐって、蝶に魅入られた蝶コレクターの男と、環境破壊のサダメとその後ろめたさを背負った企業の社長の側近の物語。
新種の蝶の標本は、日本にふたつしかないとされているのだが、それを持っている人間が、二人とも殺されてしまう。
その新種の蝶は、物語の途中で、新種なのではなくて、環境破壊によって生まれた”奇形”の蝶とわかる。・・・これは普通に考えれば、ラストで犯人がわかると同時に明かされる真相となりそうだが、もうひとつ奥に進んだエピローグが待っているのである。
蝶に奇異なくらいに固執する男の情念も、環境破壊の問題もほどほどにセーブしてあって、洗練された推理劇になっていた。夫をキョウハクして観た甲斐があったというもんだィ。