新・風のロンド『小沢真珠さん再び登場』

ネコの死にすっかり参ってしまっていたり、近所のあるおばあさんの心無い言葉にひどく落ち込んで、元気のでない私を元気にしてくれるひとつが、フジテレビ、昼の連続ドラマ、『新・風のロンド』。今日はそのドラマの感想を書いて、少しテンションをあげたいと思う。
一度は亡くなって姿を消していたヒロイン小沢真珠さんが、昨日から娘の役で再び登場である。
前の真珠さんは、戦争が原因で、婚約者石橋保さんと結ばれることができず、婚約者の弟神保悟志さんと結婚するのだが、神保さんの嫉妬や疑い深さ、心の冷たさに苦しめられつづけ、結局石橋さんの胸に不倫と言う形で飛び込み、最後は夫神保さんの企みめいたこともあって石橋さんとともに焼死という悲運の人生を終える。
その後、ドラマは、真珠さんの遺児娘が真珠さんの顔立ちや精神を引き継ぎ、石橋のさんの息子と高校生同士で強い絆で結ばれる。ところが、石橋さんの妻の田中美奈子さんが息子を溺愛していて、夫を奪った真珠さんを憎んでいたこともあり、高校生の二人は引き裂かれる。この時の展開が凄まじい。真珠さんの娘は石橋さんの息子の子供をおなかにやどしていたのだが、田中美奈子さんと、娘が妻を奪った兄の息子と結婚をすることを許す気持ちになれない神保さんによって、力づくで病院におくられ中絶をさせられるのだ。しかも、助けに追おうとする息子を止めるため、田中美奈子さんは、包丁で自分の胸を刺すのである。
・・・と、このような愛憎渦巻く展開を経て、悲劇の少女が成長し、今は出版社勤務をしている美しきキャリアウーマンとなり、小沢真珠さんがその役で再び現れたというわけである。
筋書きからすると、本当に地獄のどろどろ劇のようであるが、私はこのドラマ、なかなかよくできていると感じている。それは、どろどろをつくりあげている人たちの、そうなってしまった必然を、きちんと描いているからだ。
今日は、神保さんの父親、事業家として成功をおさめている会長が死ぬ場面があった。この人は、三男の神保さんをさんざん忌み嫌い、彼をすっかりスポイルして歪めさせてしまった人だが、最後に、神保さんに、「お前はわしによく似ている。それが疎ましくてならなかった。」と告白し、神保さんの胸に、これまでと別の人格を作る種をおとして死ぬ。
またこれまで、田中美奈子さんは、悪霊が憑いているかのようなもの狂った妻、母親像を見せているが、もともとはこの人は華族出身の分別のある優しい女性であった。それがこのような変貌をとげてしまった理由を、ずうっと観ている人にはわかるのである。そうした説得性が演出の基盤にあるので、ただ地獄絵巻を見せられているわけではないのである。
役者さんたちも、みんなきちんと演じていて、いいドラマにしていると思う。

・・・今日はじめて知ったのだけど、原作は人気コミックなんですね。世の中の流行の殆どに疎い私は知りませんでした。脚本、演出がいいとばかり思っていたけど、原作もきちんと人間を描いているのでしょうね。今度買って読みます。