第十六回 長篠の悲劇

題名どおり、武田家滅亡となる長篠の戦いを中心とした展開になるのかと思ったが、合戦自体はあっさりと終わって、秀吉(柄本明)の妹、旭(松本明子)の夫の源助(小林寛正)が戦場で死ぬことと、それにまつわることを核としたドラマになっていた。


秀吉は、信長(舘ひろし)の命令で、合戦の場、設楽原に鉄砲を撃つ台とする柵を作るために、大工仕事の得意な源助を連れて行きたい。だが、源助自身も勿論、母のなか(菅井きん)も旭も、源助が戦地に行くことには拒絶するに違いない。そこで、みんなを説得する役を、一豊(上川隆也)と千代(仲間由紀恵)に負わせる。
案の定、なかも旭も断固拒否する。千代も、「旭様をお迎えに行った時、源助様は戦地に行かなくていいように、秀吉様にお願いすると約束されました。秀吉様は約束をたがわれるのですか。」と言って一豊を怒る。
だが、源助自身が、「秀吉様のお役に立つなら行きます。」と答えて設楽原に行く。千代は、同席していた寧々(浅野ゆう子)に、「信長様あっての秀吉、秀吉あっての一豊であろう、秀吉を責めるような口をきいてはならぬ。」と叱責される。夫を権力者にのし上がらせる寧々の底力を垣間見せた場面である。浅野ゆう子は迫力と貫禄がある。


源助は、設楽原に立派な柵を作る。柵が出来上がり、雨季が終わった頃を見計らって、信長は動く。今回の戦争の主役は、源助が作った柵と、その柵に銃口をのせて敵が近づくと発砲する鉄砲である。ばたばたと倒れる武田の騎馬隊、そして赤い風林火山の幟。
戦いはわずか数時間で終わる。鉄砲を油紙で包み、雨季の雨から守り、雨季が終わると打って出た信長の圧倒的な勝利である。信長は、上杉謙信との桶狭間の戦いでは、上杉方の鉄砲を使わせなくするために、雨季に打って出て勝利をしている。信長の知力の勝利である。


戦は勝ったが、柵を作った功労者の源助は武田の矢に射られて死ぬ。源助は戦いが始まる前に帰りかけていたのだが、自分の作った柵がどのように使われるか知りたくて戻り矢を射られてしまったのである。
源助の死を、千代に伝えたのは六平太(香川照之)である。「私と一豊様が源助様を殺してしまった。」と嘆き悲しむ千代。死んで詫びるという千代に、六平太は、「生まれたものは死ぬまで生きなければならない。生まれるものを次の世につなげなければならない。」と諭す。六平太は、千代が妊娠しているのを察知したのだ。千代もそれはわかっているが、源助の死の前に喜べない。


千代と六平太の話を陰で聞いていた小りん(長澤まさみ)。小りんは、六平太に、「私が殿の子を生みたかったが、千代様に負けた。」と言って去る。去り際に六平太に言う。「お前は自分の気持ちを騙している。」これは、六平太が千代に愛情を持ってることを言っているのだ。一瞬、苦渋の色を浮かべる六平太。香川照之の男の色気を感じさせるところ。この人は何をやっても訴えるなぁ。


やがて長篠から一豊も帰り、千代ともども、旭に詫びに行く。自害しようとする二人。「やめてくだされ、あんたらが死んでも源助は戻らぬ。」と泣く旭。秀吉も二人が死ぬことを止める。
こうして千代と一豊は生きて屋敷に戻るのだが、千代の伯父、不破市之丞の危篤の知らせ。そして不破は死んでいく。旅立つ前、千代に子ができたことを告げられ喜ぶ。それから、一豊に言う。「主君を選ぶは武将の知恵。」「長生きせよ。」そして千代に、「枕を並べて、朝を迎える幸せを大事にせよ。」「仲良くせよ。」と言う。
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こうして終わったのであるが、タイトルになっている『長篠の悲劇』が源助の死にのみ集約して人情物で終わったのが、私には物足りず、そのせいか、どこにも誰にも感情移入ができなかったのでタイクツであった。でも、長丁場です。こんな週があってもいいでしょう。
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功名が辻 面白ブログ紹介
↓のブログ、映画やドラマの記事あり。面白いっす。功名が辻では香川照之さんがお気に入りのご様子で、思わずムフフ。
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