第三十三回

前回の大河ドラマは取り込みごとがあって観ることが出来なかった。が、やはり一言でも三十三回を書いておきたいと思い、昨日の土曜日の再放送を観たのだが、介護者にとって昼間は何かと慌しい。用事の合間にちょこちょことのぞいた程度にしか観られず、ほんとに一場面のみの感想になった。


佐久間良子扮する法秀尼の最期の場面。法秀尼が言い残した言葉は、「人はそれぞれに違うもの。その違いをもって相手を責めるのではなく、違いを認め生かそうとしてこそ貴重なのだ。」という意味のことであった。
まさに現代の世相に通じる言葉、いえ現代に限らずどの時代にもこの姿勢が人間に必要であった言葉なのだろうと思いつつ観た。
実際、”違いを認める””みんな違って当たり前”と言う言葉は誰でも使うが、使ったことで自分がそうであるかのように実は、自分と違うものを排他したり、自分の下におこうとする人たちのなんと多いことか。ちょっと自分にいいことがあったり、成功をみたりして人にちやほやされると、知らぬ間にそうなっている。(私自身のことですダ。)
このドラマでは、山内一豊上川隆也)と弟の康豊(玉木宏)が、互いの欠点や特性に苛立ち、ことあるごとに反目し競う意識を持ってしまうことを母の法秀尼が案じて、最期の息の下で千代(仲間由紀恵)に言い残したのである。
一豊、康豊、千代ともに、法秀尼をそれぞれの立場で敬愛し、この法秀尼の遺言を心に深くとめていくのが見えた。
千代と一豊が特にこの回はしっとりと悲しみを見せていたのがよかった。
佐久間良子は内面に大地のような豊かさと強さを持った母、という人間像を見せてこの人が出ると安心できた。