悪魔への復讐殺人

前シリーズの『相棒』の中に、『密やかな連続殺人』『悪魔の囁き』と続いたドラマがあったが、昨夜の『悪魔への復讐殺人』はその続編。
『密やかな連続殺人』『悪魔の囁き』で起こった連続殺人の犯人は、清らかな目をしたいかにも心優しい爽やかな人間性に感じる若い精神科医だったのだが、彼は罪に服する精神にないとされて不起訴になり、とある病院に入院しそこで生活をしていたのだが、外出が許され、彼の担当の女性介護士と外に出た日に襲われ殺される。
そして、「俺が殺した。」という男が現われる。この男は、前シリーズ、『密やかな連続殺人』『悪魔の囁き』で殺された複数の若い女性のうちの一人の父親であった。男は娘の敵をとりたかった、と供述する。


ここから昨夜の、『悪魔への復讐殺人』が始まるのである。
杉下右京(水谷豊)と亀山薫寺脇康文)の前に、前シリーズの時の重要な人物であった女性精神科医(奥貫?)も現われ役者はそろった。前シリーズが面白かったし、これは楽しめるゾ! とわくわくしながら観始めたのであるが・・・私は実はサバちゃんの育児と夫の風邪の看護が続いて疲労困憊の中、喉の痛み、発熱という絶不調にいて、その上、風を早く直さなくてはと思い、夫の薬を一服チョロマカシテ飲んだのだ。
そのために、突然の強い睡魔に襲われ、ナントナント、そのまま眠り込んでしまったのである。
はっと目覚めたら、もう終わりにかかっていた。どうも犯人は、出頭してきた男ではなく、別の被害者の母親であったようだ。・・・・・・トホホ、このドラマには、単なる筋を追うだけではない意味が含んでいただろうし、それが面白いわけなのに、それを観ることなく終わってしまった。ほんとにトホホホである。


仕方がないので、せめて慰めに、前シリーズの『密やかな連続殺人』の感想を転載しておくことにする。
この時の犯人は、今回殺された精神科医ではない。次の週に続いた『悪魔の囁き』で殺人を繰り返したのが若きいかにも爽やかな好青年の精神科医であったのだ。この『悪魔の囁き』の方は、私の中ではつまらないドラマになっていたので、これは転載しないことにする。

■[相棒]密やかな連続殺人
今回のシリーズの中で最も面白く観た。殺された女性の片耳のピアスがなくなっていることから、仄暗い独自の”夢想”を形に成そうとした殺人と、我らが右京さんは推理し、やがてかって殺人事件の容疑者とされたことのある、元売れっ子の塾の講師を犯人とにらむ。がこの講師は死ぬ。ここで来週につづくである。残された死んだ塾の講師の妻、美しき精神科医、清らかな目をしたその助手・・・来週はこの人たちがなお面白く魅せてくれそうな予感がして楽しみである。

それにしても、ちょうど母親を毒殺しようとした少女の事件が世を騒がせていて、このドラマの、エキセントリックな人物たちの”嗜好性”と重なる気がして妙に鬼気迫ってきた。

ドラマとは離れるが、さっき観たニュースで、あの少女のこれまでの日常を取材し、ブログが読み上げられていた。学校の他の生徒を太陽の下でくったくなく咲き誇るひまわりに例えるなら、事件の少女は仄暗い裏庭の隅にひそむ苔のような像が浮かび上がる。そしてキャスターは、またしても『心の闇』と称していた。

ニュースの情報から表層的に見て、この少女が誰よりも孤独であったのだろうことは想像がつくが、何かがおこると、『闇』として、それに相応しい情報を収集し、わかったつもりになることは、それこそ、”闇”を作ることになるのだ、ということを心しておきたい。

ドラマに戻る。今週のラストに、屋上から身を投げた”犯人”が言う。「こっち側に生きているものの苦しみは誰にもわからない。」(註:セリフは違います。そのままのセリフ、忘れました。)

私は実は、今、『こっち側でしか生きれないあなた』へ向けて物語を書いている。・・・私の作品はロマンチックで明るいですけどね。でも、ちょっと感性的に近いというか、死んだ男のセリフがよくわかる気がした。

そうよ、いろいろあるのよ。こっち側でしか生きられないものを、”闇”で片付けちゃいかんよ。ますます世の中薄っぺらになって、マジでヤバイ実感。ナアンチャッテ。