逆転弁護

猫のバーコ、アイちゃんのことで、ここのことろ鬱々した気分というか孤立感、孤独感に陥っていました。
でも、動物を救っていらっしゃるKさん、Mさんにお会いしたり、ほんとに心のこもったコメントをたくさんいただいて、そのコメントに共感し、思いの共有感を実感しているうちに、落ち込みにストップをかけることができた感覚がおこってきました。
夕べはテレビを観よう、という気持ちまでおこりました。
ちょうど電源をいれたら、テレ朝の土曜ワイド劇場『逆転弁護』がはじまったところでした。
演出、「和泉聖治」と出たのを見て、(あ、観よう!)とそのまま座って観ました。和泉聖治監督は、最もお気に入りのドラマ『相棒』の演出も多く手がけていて、好きな監督の一人です。


『逆転弁護』は翻訳物にあった気がするのでそれのドラマ化だろうか、と思ったがそこはよくわからなかった。
高橋克典が主人公の弁護士だ。彼は、わけあり犯罪の(わけなし犯罪なんてないだろうが)絶対的に有罪に見える被告から、の無罪を勝ち取り、大金を褒章として得る弁護士で、業界から、「犯罪者よりたちの悪い弁護士」と言われているヤサグレ弁護士である。
高橋克典が、ヤサグレインテリの味をよく出していてなかなかいい感じではまっていた。彼は孤児施設で育ち、そこで、お金がないと社会からバカにされたりひどい目にあうことがあるのを目の当たりにした体験を持ち、そこから弁護士を目指した人らしい。
彼が無罪にしたわけあり被告からせしめた大金は、自分を育ててくれた施設に振り込まれている。その施設には、お幼馴染の女性(エート、名前を度忘れしました。あとで記名します)がいて、事情があって親のいない大勢の子供たちのよきお母さんになっている。ここに遊びにくると、ヤサグレ高橋弁護士は、優しい頼りになる子供たちのおじさんになっている。


さて、今回の事件は、お金持ちのIT企業の社長(黒田アーサー)の妻(高橋ひとみ)が、有名な占い師を殺した、しかもテレビの生中継の現場でおこった。妻は自分が殺した、と言うが、夫は会社の名誉のために、妻が殺人者では困る、無罪にしろ、と弁護士に横柄な態度で仕事の依頼をする。手付金は一千万円である。
ここで弁護士に必要な情報を収集する大杉連扮するライターが登場。警察の捜査とは違ったルートで、事件の真相に迫っていく。この二人は、真実を歪めて自分たちが勝つ、というところは全くない。その点は清廉である。


と、結局、意外な展開で、妻は殺人を犯していないとわかり、裁判でも無罪となる。弁護士の勝利である。彼は、一千万にもうひとつ0をつけたお金をとる。IT企業の社長は、妻への愛情で無罪を主張していたのではなく、自分の会社の利益のためであるので、一億のお金を要求されても出したのである。だが彼は、手痛い結末が待っていた。妻は去っていったのである。


などなど、人の弱みにつけこむ人間へのアイロニー、と、心に傷を深く受けている人への優しい眼差しがわかる、図式としては単純なドラマ作りなのだが、その単純さが、浅さや甘さ、に通じているかというとそうではなく、深い含蓄の含んだ現代のメルヘンを観たような満足感を覚える作品になっている。
高橋克典、大杉連、中條?(孤児院の女性役)、被告役の高橋ひとみの好演もあって面白かった。
女性検事役に秋本奈緒美(?)が扮していたが、一見ヒステリック風な作りであったが、でもバランスのとれたきれる女検事、というところが感じよく出ていた。